70年のあゆみ-技術開発:技術の進歩

4-7) ROB-CAD技術の習得 《技術の進歩》

 設計の3次元化が進んでくると、組立工程をCRT上で検討できるようになる。
 富士重工業生産技術部等の要請もあり、2001年3月にROB-CADを導入した。
 富士重工業生産技術部では1996年のフォレスターの開発時点からCRT上でのスポット溶接指示、いわゆるオフラインティーチングを始めていた。
 地場メーカーにこれらの技術を普及させるべき、導入を要請された物である。深井製作所では組立技術の茂田井君が、44SのSUS LWR ASSYラインをROB-CADで作成し、VA展示会にて展示した。

 設備事業部でも関東自工、スズキ等、外部からROB-CADでの説明を要請されている状況であり、この技術の習得は避けて通れない。
 しかし残念ながら、現在、深井製作所技術部門での普及が思うようにいかず、やや遅れている。全員が早く技術習得していかねばならない。
 現在組立技術課ではSOLID WORKSで部分的な3次元での検討を行っている。
VA展示会にて動画として展示した44S

4-6)金型の三次元設計技術の習得 《技術の進歩》

 2003年6月 金型の3次元設計技術習得のためプレス技術課の中西君を富士重工業生産技術部プレス技術課へ研修に出した。期間は一年と短期間であったが技術を習得してきた。翌年はプレス技術課の熊谷君を同様に研修に出した。
 金型の短期設計を目指すには、既存の金型を全て3次元化し、テンプレート化しておくことが自動車業界の常識となっている。トヨタ、日産、ホンダ、マツダは2004年度時点で既に完了し、スズキが2005年度目標にテンプレート化は完了させ、新規金型設計の短期間に取り組んでいるとの報告が2005年度にデジタルプロセスの講演会にて報告されていた。    
 深井製作所も遅れているが、主要金型の3次元化に取り組んでいるところである。
 3次元化のメリットは設計の短期間化だけでなく、コンピュータの画面上でフィンガーのトライまで出来ることである。
3D型構造設計

4-5) 疲労試験技術の習得 《技術の進歩》

 2001年10月 富士重工業スバル技術本部材料研究部に疲労試験の研修のため、開発技術課の大澤君を1年間出向させた。
 門型疲労試験機は、材料研究部の物と同一の物を2000年4月に、将来 サスペンション部品への進出を考慮し導入したのである。出向は富士重工業の疲労試験方法の習得と、その技術報告書の作成技術習得が狙いであつた。
 研修成果は明確に上がり、その後エフテックの疲労試験受注に際しても短期の研修ですんでいる。その後開発技術課の鈴木君も1年半研修に行ってきた。
 疲労試験機は、可搬式も含めてレーザー溶接からプラズマ溶接への変更検討等でも溶接部位の信頼性確認に大いに役立っている。
3㌧門型疲労試験機(カヤバ製)2㌧可搬式疲労試験機

4-4) SUB FRAME・ペダル設計技術の習得 《技術の進歩》

 2001年6月 エフテックからの設計者応援の要請もあり開発技術課員の森君と増尾君を出向させることにした。ホンダ社のリァサスペンション用SUB FRAMEの設計応援であった。深井製作所としては、初めての経験であり心配したが両名とも頑張ってくれて、エフテック内でのプレゼンテーションを行い無事応援は終了した。
 特に森君はその後のアコードのR SUB FRAME の設計にも呼ばれ、ホンダの芳賀テクニカルセンターに入り、エフテック設計者の一員として設計を完了させている。
 この設計技術を深井製作所の物として、現在は富士重工業に売り込もうと21Zやマツダ系、トヨタ系のSUB FRAMEを研究し、プレゼンテーションに備えている。
 現在では、SUB FRAMEの強度・剛性。固有値計算など行い、振動計による固有値計測なども出来るようになっている。
 勿論、SUB FRAMEの疲労試験についても、将来を見て2000年4月に導入したカヤバ製3㌧門型疲労試験機があり、問題なく確認できる。現在でもエフテックの疲労試験を受注して行っている。
2002年5月には、エフテックからの要請もありペダル設計のため、小堀君、山下君の2名をエフテックに派遣し技術習得に努めた。深井製作所は1968年頃、富士重工業向けに生産していた実績もあるが、その後やめていたため、技術再開発の一環として取り組んだのである。
耐久解析と実試験におけるモードの相関

4-3)プレス成形シミュレーション技術の導入 《技術の進歩》

 1996年秋には、ソフト会社側が「まだまだですね」と言っていた物が、1999年には、立派に実用できる物になっていた。しかも選択に困るほどいろいろと出てきた。
 J-STAMP,PAM-STAMP,LS-DYNA、AUTO-FORM等プレゼンテーションを受け、比較した。
 J-STAMPもPAM-STAMPも基本解析の式に動的解法を用い加速度を考慮して計算している。そのために計算時間が長いが、計算結果の精度は高いといわれる。特にスプリングバックが実際に近い値がでると言われている。一方AUTO-FORMは静的解法を用い、加速度は無視している。このため計算は速く、計算時間はPAM-STAMPの1/4から1/6程度である。しかしスプリングバックの信頼性はいまいちと言われている。
 世界中の自動車メーカーのプレス成形シミュレーションソフトの保有状況を調べると、多くのメーカーがAUTO-FORMを5台持ちPAM-STAMPを1台持つというように、AUTO-FORM で先ず検討し、問題ある物のみPAM STAMPで検討しているらしいと考えられた。  
 深井製作所は富士重工業プレス技術課がAUOT-FORMを導入していたので、AUTO-FORMを導入することとし、2000年3月購入した。
 ちょうど2000年5月から21Zの開発が始まり、AUTO-FORMは大活躍した。
 21Z受注部品開発に際して。全部品を何度となくAUTO-FORMで計算し、富士重工業の設計担当者と協議しながら部品形状を決めていった。
 富士重工業の車体構造設計者のなかには計算すれば、プレスの限界値が求められると思う設計者が多く、AUTO-FORMの計算結果は限界値ではなく一つの目安であると理解させるのにも大変苦労した。
 ハイテンなどの実際のプレス結果とAUTO-FORMの計算結果は必ずしも一致しない。シミュレーションソフトは計算結果と実際の結果を常に注目して、使用者がKNOW-HOWを会得しなければならないのである。新人がこのソフトを使用してもプレスはうまく出来ないが、ある程度の経験があるならばすばらしい結果を生むソフトなのである。
 最近では深井製作所もシミュレーション経験が多くなり、経験者も増えて解析精度が可成り向上してきた。
成型解析と実プレスによるワレの相関

4-2)解析技術の導入 《技術の進歩》

 1997年5月 FRAME SD FF CPの前端部の牽引フック結合部の強度解析等もあり、初心者に使い勝手がよいMECANICAを導入した。強度剛性解析ソフトで初心者が一番苦労するのが、メッシュ作成である。有限要素法はこのメッシュを一つずつ順に計算するのだが、メッシュの大きさによって得られる答えの精度が変わってしまうという問題がある。
 当時NASTRANは優れた解析ソフトであり、数多く使用されていたが、このソフトは長年解析に携わったベテランでないと答えが合わないと言われるほど、メッシュの作成が問題だった。 MECANICAはこのメッシュの問題をソフト側で考え、応力の集中する部分をソフトが自動的に細かいメッシュを作成し、求める精度の答えを出してくれるのを売りにしていたソフトであった。
石川君が行った21Zフレーム先端牽引フック部の強度解析例
 しかし、MECANICAは発売元の関係でPRO ENGINEERというソフトとの相性が良くCATIAとの相性は今ひとつであつた。
 このソフトを使用しての解析にも慣れてきたのと、富士重工業ではNASTRANによる解析が主であるため、1999年6月にはパソコン版のNASTRANを導入し運用を開始した。   
 上記のソフトはともに線形領域の解析が出来るだけで、非線形領域の解析は出来ない。ということは衝突解析の挙動、破壊の状況等の解析が出来ないのである。
 深井製作所が担当するFRAME は衝突部材であり、非線形領域の解析が出来ないのは問題である。
 ではどうしたか、新日鐵との技術交流会を通じて、非線形領域の解析を行ったのである。 新日鐵の樋渡主任研究員、村里さんなどの多大の協力を得て、衝突解析ソフトとして定評のあるPAM CRASHも、スーパーコンピューターも新日鐵の機械を使用して解析したのである。新日鐵の樋渡さんに「スーパーコンピューターを一月の半分以上も深井製作所のために使用した」とも言われたりしたが、単純に計算費用だけでも2000万円以上もすると推定され、新日鐵の大きな協力があったのである。
 次期プレオのフロントフレ-ムは2000年春に富士重工業からプレゼンテ-ションの話が正式にあり、新日鐵と共同で現行プレオ(16R)のフレ-ムの解析と提案仕様について衝突解析、計算の検証のための新日鐵富津研究所での圧壊テスト、JARIの設備を借用しての動圧壊テストを共同で行って、2001年10月の富士重工業のVA展示会に解析結果とVA品を展示した。
衝突解析結果1衝突解析結果2

 11月にはVA品を設計、購買関係者にプレゼンテーションを行い、深井製作所として軽自動車で初めてFRAME S D FFを受注することに成功し、その上FRAME R FLR SD Fまでも受注することが出来た。 
その後もホットプレスを使用したB PLR INRの側面衝突解析等でも新日鐵の多大の協力を得ている。
BPLR CPの軽量化検討

4-1) 解析ソフトの進歩 《技術の進歩》

 図面の3次元化が徐々に進み、21Z開発では全点3次元化された図面となった。
 こうなれば部品を実際と同じようにSOLIDとして画面上でも扱えるようになった。
 SOLIDとして扱えると言うことは、有限要素法による解析が自由に出来ると言うことである。 一方、有限要素法による種々の解析ソフトの発展はめざましく、強度剛性解析のソフトは、すでにNASTRAN等あり実用に供されていたが、プレス成形シミュレーションソフトは改良が少し遅れていた。
 1996年秋にはプレス成形シミュレーションソフトJ-STAMPのプレゼンテーションがあったが、実用には使えない物であった。しかし1999年になると実用に耐えうる信頼の高いソフトがいくつも出てきた。ソフトの進歩は私たちが考えている以上に非常に早いことを痛感した。

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